研究課題/領域番号 |
11640378
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物性一般(含基礎論)
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
戸田 昭彦 広島大学, 総合科学部, 助教授 (70201655)
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研究分担者 |
彦坂 正道 広島大学, 総合科学部, 教授 (60087103)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 高分子 / 単結晶 / 自己組織化 / 高次構造 / バンド球晶 / 3次元形態 |
研究概要 |
本研究では、典型的なソフトマテリアルである結晶性高分子の高次構造に見られる自己組織化ダイナミクスを明らかにすることを目的とした。高分子の結晶化では単純液体では出現し得ない非常に複雑で多彩な高次構造が自己組織化される。その典型的な例として、融液からの高分子球晶の成長において、数μm〜数+μm程度の幅を持つ同心円状の周期構造(いわゆる標的パターンと類似のもの)が自発的に出現することが知られている。本研究では、まず電子顕微鏡による観察と電子線回折により、周期構造の原因となるラメラ状微結晶間のねじれについて明らかにすることを目的とした。具体的には、分子構造にカイラリティーのないポリフッ化ビニリデン(PVDF)において、どのようにしてラメラ状微結晶間のねじれが生じるのかを、単結晶の3次元的形態の電子顕微鏡による観察で明らかにした。実験は、非晶性高分子であるポリエチルアクリレートとのブレンド物からの結晶化を行い、電子顕微鏡による明視野、暗視野、電子線回折像を観察した。電子顕微鏡内で傾斜された単結晶からの暗視野、電子線回折像から、PVDF単結晶における分子鎖の傾斜が確認され、この分野で論争になっていた傾斜の有無について最終結論を得た。また、同心円状のパターンが見られる結晶化条件では、単結晶の3次元形態が椅子型になることが初めて見いだされた。電子顕微鏡法によって得られるこれらの知見に加え、原子間力顕微鏡による球晶表面の観察を行った結果、以下のことが明らかになった。まず、球晶表面でのラメラ状微結晶のねじれが実際に確認された。さらに、捻れ方に関して、球晶の中心から成長する上記の椅子型結晶で期待される捻れ方の整合構造が確認された。 以上の結果を総合し、分子構造にカイラリティーのないポリフッ化ビニリデンのバンド球晶では椅子型結晶における歪みが周期的パターンの構成要素を作り出す要因であることが明らかになり、この分野における長年の課題であった周期構造の由来を明らかにすることができた。
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