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多電子系分子ドレスト状態の高分解能干渉ドップラー分光

研究課題

研究課題/領域番号 11640386
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 物理学一般
研究機関東京大学

研究代表者

菱川 明栄  東京大学, 大学院・理学系研究科 (50262100)

研究期間 (年度) 1999 – 2000
研究課題ステータス 完了 (2000年度)
配分額 *注記
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2000年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1999年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
キーワード強光子場 / ドレスト状態 / 越闘解離 / クーロン爆発 / ドップラー分光 / 越閾解離 / ファブリーペロー干渉計
研究概要

強光子場(10^<12>-10^<15>W/cm^2)における分子ダイナミクスは,2つの電子状態が結合して生じた「ドレスト状熊」のポテンシャルによって支配されていることが,1電子系H_2^+分子についてのこれまでの研究から明らかにされた.多電子系分子においては,ドレスト状態の形成に多くの電子励起状態が関与すると予想される.本研究では,解離生成した原子イオンの持つ運動量を(1)飛行時間型質量分析器,および(2)高分解能ドップラー分光によって測定し,多電子系分子におけるドレスト状態の形成機構を明らかにした.
1.高輝度フェムト秒光パルス(800nm,100fs,10Hz)、およびその第2次高調波(400nm)を、高真空チャンバー(〜10^<-8>Torr)に集光することによって1PW/cm^2程度の光子場を発生させた。光子場との相互作用によってO_2から生成したO^+イオンの運動量ベクトル分布を質量選別運動量画像(MRMI)法により測定した。波長800nmにおけるO^+イオンのMRMI画像には、解離過程O_2^<2+>→O^++Oに由来するピークが観測された.このピークはレーザー偏光方向に強い空間異方性を示し、同じ電子対称性を持った電子状態間の結合が強光子場における解離過程を支配していることを示唆している。ドレスト状態描像を用いた解析から,観測されたピークは主として4重項状態a^4Π_uを始状態としたa^4Π_u-b^4Π_g-2^4Π_u-2^4Π_g状態間結合による1+1+1越閾解離に由来するものと考えられる。また波長を400nmとした場合に観測された3本のピークに対しても,同様の帰属ができることがわかり、ドレスト状態が主として同じ電子対称性を持つ少数の電子状態間の結合によって生成することが明らかとなった。
2.解離生成原子・イオンからの発光のドップラー分光測定を新たな実験手法として用いた.一般に,強光子場における光解離生成原子は大きな解放運動エネルギー(1〜3eV)を持つため,高分解能ドップラー分光計測によって,特定の電子励起状態からの「生成物の電子状態を指定した」運動エネルギースペクトルの測定が可能である。チャンバー内にNOまたはO_2などの試料ガスを導入し,66cm分光器を用いて発光分散スペクトル測定(分解能2cm^<-1>)を行った.標的分子としてはを用いた.分散蛍光スペクトルにはクーロン爆発過程によって生成した多価原子イオン種からの発光が数多く観測された.特にNOから生成したN^<2+>の3^2P→3^2S遷移(409.24nm)のスペクトルはレーザー偏光方向から観測した場合,2本に分裂していることが初めて見いだされた.スペクトル分裂幅(〜5cm^<-1>)から決定された解放運動エネルギーに基づいて,このN^<2+>は主に解離過程NO^<4+>->N^<2+>+O^<2+>に帰属されることがわかった.これは,強光子場におけるクーロン爆発過程において分子励起状態が寄与することを直接示した初めての例である.

報告書

(3件)
  • 2000 実績報告書   研究成果報告書概要
  • 1999 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] A.Hishikawa et al.: "Light-induced multiple electronic-state coupling of O_2^+ in intense laser fields"Journal of Chemical Physics. (印刷中). (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A.Hishikawa, S.Liu, A.Iwasaki, K.Yamanouchi: "Light-induced multiple electronic-state coupling of O_2^+ in intense laser fields"Journal of Chemical Physics. (in press). (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
    • 関連する報告書
      2000 研究成果報告書概要
  • [文献書誌] A. Hishikawa et al.: "Ultrafast deformation of the geonetrical structure of CO_2 in intense laser fields"Physical Review Letters. 83. 1127-1130 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] A. Hishkawa et al.: "Ultrafast structural deformation of NO_2 in intense laser fields by mass-resolved momentum imaging"Journal of Physical Chemistry. 111. 8871-8878 (1999)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書
  • [文献書誌] A. Iwamae et al.: "Extraction of molecular dynamics in intense laser fields from mass-resolved momentum imaging maps : Application to Coulomb explosion of NO"Journal of Physics B. 33. 223-236 (2000)

    • 関連する報告書
      1999 実績報告書

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公開日: 1999-04-01   更新日: 2016-04-21  

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