研究概要 |
九州陸域の地磁気誘導ベクトルが南西方向を指すこは,太平洋の誘導電流では説明できず,九州西方海域下の地殻電気伝導度は高いことが指摘されてきた.しかし,この海域での直接的な電場観測は殆どなされていない.近年,NTTのメタリック同軸ケーブルが営業品目から除外され,これを活用して下記の5地域で海底地電位を観測して電気構造を得ることが出来た. 地電位は横河電機7561,またはHP34970A+HP34902A電位計で増幅され,GPS時計に同期した1秒値がパソコンに収録された.MT解析に必要な磁場は鹿屋地磁気観測所を用いた. 1)沖縄地域:電場測線が東西であり,磁場のNS成分との相関は非常に高い.100-1000オームmの比抵抗が求まり,横方向にも均質である.30km深さまでが1000オームとの結果は島川の観測結果を支持するが,深いところで低抵抗である結果は得られていない. 2)鹿児島地域:電場と磁場の相関は東西にも南北にも良い.比抵抗として100-1000オームmが得られた.また,深部でも低抵抗にはならない. 3)甑島海域:甑島海域では数10オームmの比抵抗が求められた.これらは沖縄や鹿児島地域に比べて極めて低い.かつ,東西と南北での非一様性が特徴である. 4)長崎地域:下部地殻から上部マントルにかけての良導体の存在が特徴的である.30km深さまでは30オームm,80km深さまでは300オームm,それ以深で3オームmである. 5)壱岐地域:ここでも西部長崎地域と類似の良導体の存在が求められた.1kmより浅い部分で0.3オームm,1kmより深い部分で30オームmが得られた.
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