研究課題/領域番号 |
11640419
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体地球物理学
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研究機関 | 宇宙科学研究所 |
研究代表者 |
加藤 學 (加藤 学) 宇宙科学研究所, 次世代探査機研究センター, 教授 (80115550)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
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キーワード | ノンウォータアイス / 外惑星衛星 / 固体粘性 / 変形実験 / 流動特性 / ノンウォターアイス / 外惑星系衛星 / 太陽系進化 |
研究概要 |
外惑星系衛星のうち土星以遠のものは、表面がH_2Oの氷ではなく、窒素・メタン・二酸化炭素の氷であることが米国のボイジャー衛星や地上からの光学的観測でわかっている。このようなノンウォータアイスはその物性がほとんどわかっておらず、光学的性質・結晶の融点・晶系がわかっているのみである。探査機の至近距離からの映像は表面に特徴的なテクトニックな構造があることを示しているため、本研究の課題であるノンウォータアイスの弾性的・非弾性的性質を明らかにする必要がある。上記のノンウォータアイスは旧ソ連の研究者によって作成例と音速(弾性的性質)の測定例が報告されているが、データを吟味するとそれらの試料が空隙率の大きな、霜のかたまりのようなものであると判断される。 本研究ではまず、良質で空隙率の小さい試料を作成する装置の立ち上げと変形実験装置の設計・製作を行った。窒素・メタン・二酸化炭素について透明な多結晶試料を作成することができた。これらの試料が良質なことは試料が透明であることのみならず、超音波測定でも従来より高い音速を記録したことからも十分に判断できた。これらの試料はヘリウム温度までの極低温下で生成した後、一定荷重をかけ、変形による歪を測定した。 固体窒素の変形メカニズムは転移温度35.6Kを境にして大きく異なり、粘性率は2〜9×10^8Pa secであった。固体メタンでもα相からβ相への転移に伴って変形様式が変化する。粘性率は10^<10>Pa・s(45K)であった。これらの値はH_2O氷のものに比べ、4〜5桁小さなものであり、極低温下でも極めて変形しやすいものであることを示した。二酸化炭素の氷は、融点近傍では10^8Pa・s程度あるが、これ以下では急激に硬くなり脆性破壊をするようになる。従ってノンウォータアイス衛星では地質学的に長いタイムスケールで地形を維持するにはメタンや窒素の表層の下にH_2Oの氷や二酸化炭素の氷があると結論できる。
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