研究概要 |
duplexやout-of-sequence thrustは付加体において重要な内部構造である.関東山地西部には,南部秩父帯の浜平層群が分布する.そこではduplexが頻繁に観察され,数cmから数m,数十から数百m,数百mから数kmの3つのスケールのduplexが見られる.すなわち,調査地域の地層はdeplexによって重複し厚化している。一方,out-of-sequence thrustに相当する3本のスラスト,御巣鷹山スラスト,三国山スラスト,両神山スラストが確認できた.これらのスラストは,in-sequence thrustを切断し,調査地域の古地温構造を乱している.泥質岩のイライト結晶度による見積もりによれば,三国山スラストの上盤の垂直方向の変位は,本スラストの東半分で約2.2km,西半分で約0.5kmである.asymmetric trail, S-C構造,deplexなどのような非対称構造が浜平層群中に発達している。スリップセンスがこれらの構造から求められた.調査地域において,スリップセンスによって定義された変形フェーズは,5つのフェーズに区分される.phase IはWSW-SW, phase IIはSW, phase IIIはSSE-SE, phase IVはSSWである。Phase Vは走向スリップである.大局的には,最低でも2回のスリップセンスの変化が認められる.付加体におけるスラストによって形成されたスリップは,プレート間の相対的な運動と強く依存していると考えられることから,中期ジュラ紀から前期白亜紀にかけて,これらはイザナギプレートの運動を反映しているものと思われる.
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