研究概要 |
本研究では,これまでの大阪平野地下の上部更新統のうち特に層序学的問題の多いMa12層の上位の天満層について層序学的再検討を行うとともに,これまでの問題点の整理を行い,ボーリング試料の分析結果とともにその検討を行った. 平成11年度は,大阪平野内の天満層の再検討に適切な大阪市の実施した津守ボーリングコアを譲り受け,それらの岩相的特徴(粒度,色調,構成堆積物の組成(特に礫種組成))と含まれる火山ガラスの分析から,広域火山灰層との対比や降灰層準の検討・予察的対比をおこなった. 平成12年度は,前年の結果をもとに,詳細層序の確認に適切な大正高校グランドでオールコアボーリングによる試料採取を行い,岩相記載と火山ガラス分析を行った.そして,その岩相区分と対比を行い.またその結果を他地域(濃尾平野や関東平野など)の該当地層との比較を試みた. その結果,以下のことが明らかとなった. 1.天満層として一括されていた地層には,Ma12層上位に位置しMa12層とともに埋没段丘を構成する泥炭層を挟む礫・砂・シルトの互層と,それらを削り込む埋没谷を埋積する礫層に分けられる. 2.Ma12層を削り込む埋没谷を埋積する礫層は,平安神宮火山灰由来とみられる火山ガラスを極少量含むこと,その礫層中部に含まれる材化石の年代が1万年前以前の値を示すこと,完新統の汽水〜海成層に覆われることから,平安神宮火山灰降灰(約24,000年前)以降,1万年前以前に形成された堆積物である.難波累層は最終氷期最寒冷期以降の堆積物とされているので,この礫層は,難波累層に属し,その最下部礫層とみなされる. 3.難波累層最下部礫層は,最終氷期の浸食谷を埋積した礫質層であるという岩相および下位層との関係,形成時期が更新統末期であることなどから,関東平野の七号地層,濃尾平野の第一礫層・濃尾層に対比できる.
|