研究課題/領域番号 |
11640464
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 裕之 鹿児島大学, 理学部, 教授 (50041223)
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研究分担者 |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 教授 (10135387)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2000年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 南西諸島 / 脊椎動物化石 / 更新世 / 適応放散 / 固有種 / 種分化 / 絶滅 / 渡瀬線 / シカ類化石 |
研究概要 |
1)近年、沖縄島北部の今帰仁村呉我山地区において、南西諸島における最古の第四紀脊椎動物化石包含層が発見されたのを契機に、平成12年度までに同層の発掘調査を実施し、その結果、哺類乳、両生類、爬虫類等の脊椎動物化石(赤木又-今泊脊椎動物化石群を多数発掘した。発掘した化石は古生物学的研究を行ない、絶滅種のシカ類(リュウキュウジカ、キョン)、中国の前期更新統に特徴的な齧歯類(レオポルダミス属)、現在、沖縄・奄美諸島に棲息しているヘビ類(ハブ、アカマタ)やカメ類、カエル類(イシカワガエル、ヒメアカガエル)などの先祖型の化石を多数識別した。また、この動物化石群の地質年代を決定するために、包含層の年代測定した結果、1.5±0.3Ma(更新世前期)という結果を得た。 2)琉球石灰岩に発達した裂罅堆積物(後期更新世)に包含される動物化石群集の発掘調査を行なうとともに、採集した標本の分類学的研究を行なった。その結果,リュウキュウジカには5つ以上の多型グループを識別され、それらの形成が、更新世末期の種族の絶滅に密接に関連している可能性を示した。また、これまでに部分的な骨格の産出が南西諸島の各地知られていた大型リクガメ(オオヤマリクガメ)について、保存状態の良好な標本を発掘し、その分類学的研究を行なった結果,それらがリクガメ類の主要グループであるManouria属の進化上、重要な位置づけになることを明らかにした。 3)南西諸島における陸棲脊椎動物の渡来時期を明らかにする目的で、沖縄島南部の鮮新-更新統の知念層および名護市周辺の羽地層(呉我部層・仲尾次部層)の堆積残留磁気の測定とフィション・トラック年代の測定を行なった。その結果、知念層が古地磁気層序学的にマツヤマ逆磁極期のオルドバイ・サブクロンに、羽地層がオルドバイ・サブクロン以降のマツヤマ逆磁極期に相当することが明らかに出来た。 4)以上の結果、沖縄島の羽地層の今泊-赤木又脊椎動物化石群集は、古型シカのメタセルブルス亜属(リュウキュウジカ)や齧歯類のレオポルダミスの存在によって、中国は揚子江下流域の安徽省繁昌県癩痢山で近年発見された動物群(2〜2.5Ma)に起源がある可能性が強いこと、それらの南西諸島への渡来時期は知念層の堆積開始以降のオルドバイ・サブクロン期(1.95〜1.7Ma)の可能性が示唆されること、また、南西諸島における現生のヘビ類やカエル類の爬虫・両生類の起源は更新世前期の今泊-赤木又脊椎動物化石群集の時代(約170万年前)まで遡ること、さらに、南西諸島の現生の固有種は、それらの前更新世の渡来種の遺存種(レリック)であることを明かに出来た。
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