研究概要 |
本研究の目的は,星間空間における星間塵の成長過程、およびその光学特性を実験的に明らかにすることにある.最終的にはサブミクロンサイズ(0.1〜1μm)の微粒子(鉱物、有機物、氷)を真空中の微小空間に長時間閉じ込め、それらが衝突付着により時間とともにどう成長するかをその場観察し、可能であれば赤外線吸収による分析を行う.本年度は研究遂行に必要な閉じ込め装置の開発を完了し,さらに有機物微粒子の付着力を見積った.具体的には以下のとおりである. 本研究を進める上で,もっとも重要な「微粒子閉じ込め装置」である,RF型イオントラップ装置を高真空槽中に構築し,分子イオンの数時間に及ぶ閉じ込めに成功した.装置の特徴として,イオントラップ電極には内部の観測に必要な直径5mmの穴を4つあけ,下方電極にはイオン化に必要な電子銃を設置した.イオン分子による予備実験後,微粒子を閉じ込めるのに必要な実験条件を整えるべく,高周波電場のインピーダンス整合装置の開発を行い,イオントラップの電極を改良した. 有機物微粒子の閉じ込め実験の前段階として,噴霧器を用いてエチレングリコール微粒子を作製し,200K付近における微粒子の付着力の測定を,流動法を用いて行った.その結果,鉱物微粒子のそれよりも数桁大きな値であることが分った.
|