研究課題/領域番号 |
11640494
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高橋 正彦 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (80241579)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2000年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1999年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 電子運動量分光 / 波動関数 / 同時計測 / 角度相関 / オービタルイメージング / コインシデンス |
研究概要 |
電子運動量分光によれば、標的分子の高速電子衝撃イオン化により生成した非弾性散乱電子と電離電子双方のエネルギーと方向を同時計測検出することで、波動関数の形を軌道毎に分けて決定できる。しかし、気相分子を対象とする実験では、標的分子の空間的ランダム配向により測定結果は波動関数の動径部分に限定され、波動関数形が持つ情報の多くを失ってしまう。本研究は、衝突時の分子配向の情報を持つ解離イオンの反跳方向をも併せて同時計測し、波動関数形三次元測定のための新しい分光法の開発を試みるものである。 本研究期間中に、以下の4つの研究を行った。 1.本補助金により、(電子・電子・イオン)三重同時計測用エレクトロニクス及び解離イオン検出器の製作等を行い、これらを既存の電子運動量分光装置と組み合わせて、波動関数形三次元観測のための装置として完成させた。 2.N_2分子の電子衝撃による内殻励起過程を用いて(非弾性散乱電子・解離イオン)同時計測検出を試みた。これは、配向分子の電子線非弾性散乱実験に相当する。しかし、得られたスペクトルのS/N比は極端に悪く、解離イオン検出に全立体角方向の散乱成分を計測できる画像観測法の導入が必要であることが分かった。 3.電子運動量分光が対象とする価電子軌道からのイオン化を(光電子・光解離イオン)同時計測実験で詳細に調べた。得られた配向分子の光電子角度分布と理論計算との比較から、多くの価電子イオン化過程が速いイオン解離を伴い、波動関数形の三次元測定で対象とできることが分かった。 4.検出効率の大幅な向上を目的として、画像観測法を利用した新しい電子運動量分光装置の製作を行った。装置の立ち上げはほぼ完了し、その結果、従来の装置と比較して三桁以上の検出効率の改善を達成することができた。 以上の成果を踏まえ、所期の目的である波動関数の三次元測定に向けて、現在、画像観測法のイオン検出への応用を計画している。
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