研究課題/領域番号 |
11640506
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤村 陽 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00222266)
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研究分担者 |
梶本 興亜 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30029483)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 酸素原子 / 亜酸化窒素分子 / 炭化水素分子 / 反応動力学 / 微分散乱断面積 / ドップラー分光 / ベクトル相関 / 偏光分光 / 気相素反応 / 偏光ドップラー分光 / 回転角運動量 / 水分子 |
研究概要 |
気相素反応のダイナミックスを明らかにする上で生成分子の振動回転状態分布は最も基本的な情報であった。しかし、それだけをもとに気相反応の動力学を論じることには限界があり、生成分子の振動回転状態を選別したうえで、散乱角度分布と回転角運動量の偏向を測定する必要があった。本研究では高分解能偏光ドップラー分光法を用いて、O(^1D)原子やO(^3P)原子と炭化水素分子などの反応について、そうした測定を行った。こうした情報は反応領域で何が起きているかを振動回転分布よりも直接的に反映しており、振動回転分布の情報と組み合わせることで、これらの反応についての従来からのあやふやな議論を確実なものにした。また、これまでの研究成果と合わせて、O(^1D)原子の挿入型の反応について統一的な知見を得ることができた。 反応生成分子のドップラースベクトル線形の解析から、(1)O(^1D)+N_2O→NO+NOでは、回転角運動量は等方的で、中間状態の面内と面外の振動自由度の間でのエネルギー再分配が効率良く起きており、長寿命の反応中間体が存在しない系であるにもかかわらず、生成するNO分子が広い振動回転準位に分布し統計分布に近いことと整合すること、(2)O(^3P)+RH→OH+Rでは(RHは飽和炭化水素)、衝突エネルギーに応じて反応機構に変化が観測され、従来からこの反応について典型的な機構として理解されてきた跳ね返り型(後方散乱)だけを考えることは不適当であること、(3)O(^1D)+RH→OH+Rでは、炭化水素の種類と生成するOHの振動回転準位に依存する二つの反応機構は中間体の寿命という観点からは大きな違いがないこと、O(^1D)が挿入したことによるOHの回転トルクの起源がO(^1D)+H_2Oの反応と類似していることが示された。 本研究で対象にしたのは反応は、いずれも基本的な気相素反応であり、こうした知見は気相素反応研究の基本的理解に大きく資するものである。
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