研究概要 |
Hydrogen-Bonded Charge-Transfer(HBCT)システムとして、N-アルキルビオルル酸を配位子とした新規遷移金属錯体、およびビオルル酸のカルボニル基をチオカルボニル基に変換した配位子の合成にも成功し、そのX線結晶解析も行い、ESR測定等により、結晶内における水素結合様式についての知見を得ることができた。また、分子内に種々の水素結合部位をもつ、キナクリドン誘導体の合成を行った。現在では、キナクリドン骨格に焦点を当て、これに電子供与基等の種々の置換基を導入することによって、ドナー性の向上と溶解性の向上をはかり、結晶場における水素結合ネットワークの構築をめざしている。キナクリドン骨格としては初めてキノジイミン誘導体の単離にも成功している。同様に2,7-ジアルキルピリミド[4,5-g]キナゾリン-4,5,9,10(3H,8H)-テトロン誘導体の合成もおこなっている。この分子は、多段階レドックス系としての物性が期待できるようなヘテロ原子をキナクリドン骨格に組み込んだものであり、その電荷移動錯体を合成した。また、シアナニル酸を配位子に用いた種々の遷移金属錯体を合成し、X線結晶解析を行った。
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