研究概要 |
当初の研究目的であるアミンの"クラス選択呈色能"についてα系色素架橋体を用いて検討した結果,典型的な第1級アミン類は青紫色に,第2級アミン類は赤色に呈色することが明らかになった。第3級アミン類は溶媒としてクロロホルムを用いると反応せずに,黄色のままであった。従って,当初に予想した"クラス認識"呈色が実現されたかに思えた。しかし,構造的にバライエティーに富んだ,例えば水酸基を有するアミン類に対する一般性を検討したところ,1,2級アミンの中間的な色調を示す場合のあることが分かった。すなわち,最も重要な一般性という点において,ある制限を設ける必要性が生じた。しかし,当初の目的であったアミンの"クラス認識"呈色は基本的には実現できたと言える。 非常に有益な中間体である6-ο-モノトシル完全メチル化α-,β-,γ-シクロデキストリンおよび対応するモノアルコールの実用的な20gスケールの量産方法を確立することに成功した。この新しい方法は反応の再現性がよく,中間体が高収率で得られ,MeI-NaH系に不安定な置換基を有するポリアルコール類の完全メチル化にも応用可能である。 完全メチル化α-シクロデキストリン骨格にアゾベンゼン基をエステル結合で連結した色素架橋体を水中で2-ナフトールとアゾカップリングすることによって,環状5量体を単離,同定することができた。この5量体は,主たる環構造が機械的結合でのみ組立っているという珍しい構造をしており,2次元分子マシンの土台としての利用が期待される。 完全メチル化α-シクロデキストリン-アゾベンゼン1:1連結系は,一般的に自己会合によって差し違い型2量体を選択的に高収率で生成することを明らかにすることができた。
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