研究概要 |
1.塩化ナトリウムの融体からの結晶成長を,結晶-融液界面が最初(100)面,(110)面,(111)面の場合についてMDを行った。結晶成長は,<100>方向に最も容易に進行した。溶融塩化ナトリウム中に,異種類陽,陰イオンを混入した場合について,結晶への取り込まれ方,成長速度について調べた。塩化ナトリウム結晶の上に溶融塩化リチウムを配した場合のエピタキシー成長について調べた。 2.酸化マグネシウムにっいて同様に調べたところ,結晶成長の様子は塩化ナトリウムの場合と酷似していた。すなわち(100)面に最も成長しやすい。イオンの価数は,結晶成長にほとんど関係がなく,結晶形に依存することが分かった。 3.塩化カルシウムについて調べた。(001)面の成長は,NaCl型の場合より遅いが,結晶は成長した。(100)面,(110)面の場合はMDを行った時間内には成長しなかった。(001)面の成長も,最高の成長速度でもかなり遅い。これは,1つの陽イオンと2つの陰イオンが単位となって成長するために,欠陥が出来やすく,その欠陥の上には結晶が成長しにくいためである。 4.メタケイ酸カルシウムについて調べた。この物質(CaSiO_3)の結晶は,ペロブスカイト構造を有する。(100)面について成長を試みた。1-2層は成長したが,それ以上はナノ秒程度のMDでも成長しなかった。これは,融液の粘性力が高く,また2種類の陽イオンが存在するために,成長が遅いものと考えられる。 5.酸化マグネシウムを対象として分子動力学シミュレーションの約52分間の一般的説明なども入れたビデオを制作した。
|