研究概要 |
(1)タンタル系複合酸化物光触媒による純水の完全光分解反応 タンタル酸アルカリが,水の完全光分解反応に活性であることを見いだした。その中で,LiTaO_3が高い活性を示した。また,NiOを助触媒に用いると,NaTaO_3がもっとも高い活性を示した。このNaTaO_3にLaをドープしたもでは,活性がさらに向上し,270nmでの量子収率が約50%にまで達した。また,層状ペロブスカイト構造を持つSr_2Ta_2O_7とSr_2Nb_2O_7も,純水の水素と酸素への完全光分解反応に活性を示した。Sr_2Ta_2O_7は,UV照射により,助触媒を担持しなくても水素と酸素を与えた。さらに,酸化ニッケルを助触媒として担持することにより,前処理をしなくても活性が飛躍的に増加した。一方,Sr_2Nb_2O_7は,そのままでは活性を示さないが,酸化ニッケルを担持し,前処理をすることによりはじめて高活性を示した。これらの挙動の違いは,主にSr_2Ta_2O_7の方がSr_2Nb_2O_7よりも高い伝導帯レベルを持っているためであると結論された。一方,フラックス法で合成したSrTa_2O_6やd^<10>とd^0金属イオンの複合酸化物であるZnNb_2O_6に酸化ニッケルを担持した触媒も,純水の水素と酸素への完全光分解反応に活性を示すことを見いだした。 (2)可視光応答性光触媒の開発 水を媒体とした室温での高結晶性BiVO_4のソフト溶液プロセス合成法を開発した。この方法で得られたmon. BiVO_4は,可視光照射下(λ>420nm)において硝酸銀水溶液からの酸素生成反応に高い活性を示し,450nmにおいて9%の量子収率を与えた。また,ZnSにNiをドープしたものが,SO_3^<2->を還元剤とした水溶液からの水素生成反応に,可視光照射下で白金のような貴金属助触媒を担持しなくても活性を示すことを見いだした。一方、ペロブスカイト層とBi_2O_2層が交互に積層した構造を持つBi_2W_2O_9,Bi_2WO_6,Bi_3TiNbO_9が,メタノール水溶液からの水素または硝酸銀水溶液からの酸素に活性を示す光触媒であることを見いだした。この中で,Aurivillius構造を持つバンドギャップが2.8eVのBi_2WO_6が,可視光照射下(λ>420nm)においても,その酸素生成反応に活性を示した。
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