研究概要 |
1)溶媒インプリント法の確立 認識させたい目的物質と構造の類似した疑似的な鋳型分子を溶媒として用いる本法において,従来,認識能の発現が容易でなかった平面的でない化合物の認識発現が可能な重合の系を見いだした。これにより,内分泌かく乱物質などのように,比較的立体的にかさだかい化合物に対する人工的認識サイトの構築が可能となり,研究遂行の課題を克服した。また,目的化合物の構造の一部である化合物も部分鋳型(フラグメント)として使用するこが可能であることが明らかとなり,複雑な構造を有する化合物や高分子化合物の認識にも対応可能であることが分かった。 2)ビスフェノールAを対象とするモレキュラーインプリント法の開発 内分泌かく乱物質であるビスフェノールAを識別対象とした場合,機能性モノマーとして4-ビニルピリジン,あるいは1-ビニルイミダゾールなどを用いた場合,代替鋳型としてt-ブチルフェノールを用いることで,実際にビスフェノールAを鋳型分子として用いた場合より優れた識別能が得られることが明らかとなった。実際の吸着実験においては,活性炭を上回る吸着能を有する媒体の開発にも成功した。 3)新しい分離媒体の開発と性能の検討 新しい粒子径均一粒子,また,モノリス型カラム(連続体カラム)などの新しい分離媒体の開発とその特性および分離性能の検討を行い,上記1),2)の効率的遂行のための媒体の検索を行った。その結果,環境試料に対する吸着媒体としては,粒子径の均一性が極めて重要であることが明らかとなった。また,キャピラリー電気クロマトグラフィーにおいて高い性能を与える媒体の開発にも成功した。
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