配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2001年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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研究概要 |
砂泥底における造礁サンゴ群集の成立と維持機構を,「棲み込み連鎖」仮説に基づいて解明することを目的に,西表島網取湾と沖縄島大浦湾および金武湾で研究を行なった。 1)網取湾では,湾口-湾奥の環境傾斜に対応して,造礁サンゴの分布や群集構造に変化が見られた。湾奥部の泥底には繊細な樹枝状のミドリイシ類,トゲミドリイシ類およびミレポラを主体とした群集が発達し,それらのパッチ内外に多くの群体破片が散在していた。また,沈殿物に強いキクメイシモドキとタヤマヤスリサンゴば湾口部や湾最奥部には見られず,中央部湾奥よりに高密度で分布していた。タマヤスリサンゴは新規加入や大型群体の分断・死亡などが多く、きわめて激しい動態を示した。 2)湾奥部の泥底に実験的に設置したミレポラとオオトゲミドリイシの群体破片は,大きいほど生存率が高かった。泥底に刺さって安定した破片の生存部分の成長によって,パッチが成長し,あるいは新たに形成されることが予測された。 3)網取湾奥部の泥底に散乱した樹枝状サンゴの骨格に,さまざまなサンゴの着生を確認した。サンゴが死後に提供する骨格にプラヌラ幼生が付着し,泥底における種多様性の増加と維持に重要であることが確認された。サンゴによる付着基質の提供とそこへの棲み込みが泥底における固着性のサンゴ群集の成立と維持および多種共存に重要であることが確認された。 4)大浦湾では,スイショウガイ成貝の殻へ棲み込むことによって,キクメイシモドキが泥底でも生存できることを示した。金武湾では,ワレクサヒラィシとスツボサンゴおよびムシノスチョウジガイの棲息を確認した。後者2種はホシムシとの棲み込み共生関係が,またワレクサビライシはその形態と行動が砂泥環境に適応的であることを確認した。
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