研究概要 |
酵母や動物の2本鎖RNA結合タンパク質が持つ2本鎖RNA結合ドメイン(DRBD)が広い範囲の生物界で保存されていることを利用し、シロイヌナズナのデータベースからDRBD様配列を含むと思われる遺伝子を12種検索した。その中で、N末にDRBD様配列を2個含むタンパク質ADB1,ADB2,ADB3、N末に2個のRNaseIII様ドメイン、C末に2個のDRBD様配列を含むタンパク質CAF、イネのADB1と同様なタンパク質ODB1、これら5種のDRBD様配列を含むタンパク質を中心に生化学的解析を行った。 ノースウエスタン法により、これらのタンパク質すべてが1本鎖RNAに比べて2本鎖RNAに特異的に結合することを確認した。またこれらの2本鎖RNA結合活性には顕著な差が見られ、ADB1,ADB3,CAF, ODB1の2本鎖RNA結合活性に比べADB2の2本鎖RNA結合活性は非常に弱かった。さらに、ADB1,CAF,0DB1の25塩基対2本鎖RNAに対する結合活性は、100塩基対のものに比べ明らかに弱かった。この結果から、これら2本鎖RNA結合タンパク質が特異的に結合する2本鎖RNAの長さの最低値は、25塩基対以上100塩基対以下であると考えられた。 DRBDがタンパク質間の相互作用に働いている可能性が示唆されたため、2本鎖RNA結合タンパク質がタンパク質間相互作用活性をもつのかウエストウエスタン法によって確かめた。プローブとして5種のタンパク質、ADB1全長、ADB1のN末端(DRBD)、ADB1のC末端、ADB2全長、ADB3全長を調整し実験を行った結果、DRBD間での相互作用が確かめられた。ADB1は、ADB1自身との相互作用よりCAFとの相互作用の方が非常に強いことが示された。
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