研究概要 |
1.糖タンパクホルモンレセプターファミリ-cDNAクローニング 繁殖期のイトマキヒトデ卵巣から哺乳類のゴナドトロピン受容体など糖タンパクホルモンレセプターファミリーに属する膜7回貫通領域をもつ2種類のcDNAをクローニングした。またそのリガンドについて神経抽出物より部分精製し、GSSとは別のホルモンであることを明らかにした(Zool.Sci.,2000,17S:7;Zygote,2000,8:S54-S55)。一方、GSSについては、精製まで終了し、現在アミノ酸配列の解析中である。 2.1-メチルアデニン(1-MeA)の生合成過程と活性調節 単離した卵濾胞細胞に[^<14>C-methyl]メチオニンあるいは[U-^<14>C]アデニンまたは[U-^<14>C]アデノシンを取り込ませたトレーサー実験により、新たに2つの事実が得られた。すなわち、1-MeA生合成の直接のメチルドナーがS-アデノシルメチオニン(SAM)であったこと、およびアデニン骨格がATPに由来していたことである。また、無細胞系においてもATPとSAMを基質にしてサイクリックAMP濃度に依存して1-MeAが合成されることを見出した(Zygote,2000,8:S9-S11)。今後メチル化酵素について解析する予定である。 3.1-メチルアデニン受容体 10種類のN1置換アデニン類を化学的に合成し、ヒトデ卵成熟に対するアゴニストおよびアンタゴニストの作用を調べた。その結果、1-MeAレセプタータンパクに対する相互作用において、分子内の電荷ばかりでなく、N1置換基の立体的位置関係が重要であることを明らかにした(Zygote,2000,8:S9-S11)。 その他、ATP-diphosphohydrolase(ATPDase,apyrase)が卵濾胞細胞表面に存在することを示し、その卵形成および卵成熟過程における生理的役割を明らかにした(Zool.Sci,2001,印刷中)。
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