研究課題/領域番号 |
11650012
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用物性・結晶工学
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
川口 健 名古屋工業大学, 計測分析センター, 助教授 (80144195)
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研究分担者 |
大野 勝久 富士写真フィルム, 足柄研究所, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1999年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | アモルファス / カルコゲナイド / 薄膜 / 光誘起現象 / 光析出現象 / 光記録デバイス / 核生成 / 結晶成長 / 光記憶デバイス |
研究概要 |
平成11年度、平成12年度の2年間で光析出粒子の核発生と成長プロセスについて基礎的なデータが得られた。実験に用いた試料は、バルクガラスではAg_xAs_<15>S_<40-x>、系(35≦x≦45)、薄膜試料ではAg_x(Ge_<0.3>S_<0.7>)_<100-x>系(55≦x≦67)である。バルクガラスでは銀濃度が低いほど析出銀量は少ないが核発生数は多い。銀濃度が高いと大きなサイズの析出物が見られるがその数は少ない。つまり銀濃度の高い場合、析出銀量は多いが核発生数は少ない。薄膜試料では銀濃度が低いほど析出銀量は少ないが、核発生数は銀濃度による大きな変化はみられない。銀濃度の多い試料では銀粒子が大きく、ほとんど隙間のない密な状態で析出する。 核発生を高密度にするためには核形成剤を添加することが有効であることがわかった。金添加は金イオン注入も含めてバルクガラスでは著しい効果が見られたが、薄膜では期待した結果が得られなかった。電子ビーム照射についても金添加と同様の結果であった。平成13年度はバルクガラスと薄膜でなぜ核発生機構が異なるか調べた。核の成長速度は試料の銀濃度に大きく依存することがわかった。つまり、銀濃度が少し増えると成長速度は著しく増加する。このことはバルクガラスと薄膜で違いはない。 以上の結果をまとめると次のようなモデルが考えられる。均一核生成理論では銀濃度が高いほど核発生数も析出銀量も増加する。しかしそのようにならないので、光析出現象は不均一核発生であると考えられる。つまり核発生サイトが試料表面にあると考えられる。バルクガラスの場合、サイト数は銀濃度が低いほど多い。ガラス構造に関係していると思われる。薄膜試料では構造がバルク試料より乱れているので銀濃度が高くても多くの核発生サイトが表面に現れると考えられる。金添加すると金原子はクラスターを形成し、新たな核発生サイトになると考えられる。つまりサイト数が増加するわけである。もともとサイト数の多い試料では影響は少ないが銀濃度の高いバルクガラスではもともとのサイト数が少ないので影響は顕著に現れる。金添加による析出銀量の変化は、金添加によるガラス構造の乱れの増加に関係していると思われる。実験結果から判断すると、薄膜のほうが金添加により構造の乱れが多くなるものと推察される。
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