研究概要 |
近年,コンピュータネットワークさらにはインターネットの普及により,テレビやコンピュータモニターに表示された画像,あるいは写真・印刷など異なる画像メディアの間で共通の色情報を表示することが盛んに行われるようになった.このような状況では当然,同じ色情報あるいは画像情報を異なる画像表示機器で,しかも異なる環境の下で観察することになる.この場合,正確に色が認識できるように,さらに物が認識できるように画像を再現することが重要な課題になる.本研究では,日常生活における色の情報伝達には色名が最も利用されているから,色名に着目した.本研究の目的は色の見え空間における「色名」の領域を明確に定めることにある. 種々照明下の色票によるカテゴリカルカラーネーミングの実験とその結果の解析を行った.分光放射分布,色温度の異る種々の照明下に置かれた色票の色の見えを「色名」で答えることにより,異る環境下での色の認識を調査した.光源には白熱灯,色温度5000K,6500Kの蛍光灯,高圧ナトリウムランプ,高圧水銀ランプ,低圧水銀ランプ等を用い,色票はJIS管理色票の中からの292枚を用いた.カラーネーミングにはBerlin and Kayの提唱する11基本色を用い,これらの基本色の領域の照明による変化をデータベース化した.さらに,11基本色名の領域を1997年に国際照明委員会(CIE)より提案された色の見えモデル(CIECAM97s)の色空間に表現した.さらにCIECAM97s空間における色名の分布を利用して,色名の認識を重視した,光源の新しい演色評価指数を提案した.
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