研究概要 |
繊維強化型・粒子分散型複合材料や多孔質材料よりなる大型構造物を対象とし,線形・非線形均質化法と重合メッシュ法を併用した新しいマルチスケール解析手法を開発した.実際の材料のモデル化を行い,実験や従来型の数値解析との比較から妥当性,信頼性および実用性を検証するため,大規模解析を通常のパソコンで行うための高速シミュレータも開発した.対象材料の観点から,織物や編物といったテキスタイルを強化材とした高分子系複合材料,粒子分散型複合材料,多孔質セラミックスの特徴的な3種類の材料を扱った.まず,テキスタイル複合材料については,単繊維/繊維束/マクロ構造体というスケールに従った3階層よりなるモデリングを行い,強度評価ならびに成形プロセスシミュレーションを行った.特に,成形プロセスシミュレーションではミクロ・メゾ構造を考慮した世界初のマルチスケール解析を実現するとともに,実験との比較によりその有効性を検証した.いずれも,損傷進展,固液連成,大変形といった非線形現象を扱った.多孔質セラミックスに関しては,針状気孔を3次元的に扱うため,3次元イメージベースモデリングを用いた.100万要素という超大規模解析を通常のパソコン上で実用的に行うことが可能となり,ミクロ構造を反映したマクロ特性値は,数値解析と実験測定とで良好な一致が得られた.また,解析手法の観点からは,不均質性を大域的不均質性と局所的不均質性に分類する新しい概念を提唱し,前者には均質化法を,後者には重合メッシュ法を用い,かつ両手法を併用する解析手法を提案した.ミクロき裂,界面/界面相,異物・ボイドといった不均質部のミクロ応力をマクロ挙動との相互作用を考慮しつつ解析することが可能となった.
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