研究概要 |
まず,二次元の熱弾性問題における熱ひずみに関する領域積分の境界積分による取り扱いについて考察した.すなわち,熱ひずみの分布について二重相反法を適用する方法をとりあげ,熱ひずみの領域内の分布の近似関数にコンパクトサポートのRadial Basis Functionを用いた場合の定式化を行った.このRadial Basis Functionを用いることにより,近似関数の係数マトリックスが,従来よりもスパースな対角マトリックスに帰着させることができた.その結果,コンピュータの記憶容量を節約できるとともに,近似関数の係数を従来よりも高速に解くことができるようになった. 次に,衝撃熱弾性問題を取り上げるにあたり,初期条件に由来する領域積分項の評価を効率的に行う必要が生じる.本研究では,この項に多重相反法を2回適用して,境界積分と新たな領域積分を含む項にまず変換した.新たに生じた領域積分項には,初期条件に重調和作用素を作用させた項が含まれている.そこで,初期条件を重調和方程式の特解であるThin Plate Splineで補間することにより,この量を二重相反近似式の係数とThin Plate Splineから導出される関数の線形結合に帰着させる方法を開発した.これにより,時間依存の問題においても,初期条件項の領域積分を境界積分のみにより評価することが初めて可能になった.本定式化を組み込んだプログラムを開発し,数値シミュレーションを行った結果,領域積分項を用いなくてもきわめて高精度な解析が可能となることが明らかになった.さらに,本研究では二次元熱弾性問題に対して二重相反法による解析を行った.二重相反法は,支配微分方程式の非同次項を適当な関数によって表し,その特解を使用して領域積分を境界積分へ変換する手法である.ここではコンパクトな台を持つRadial Basis Functionに対して,DRMで使用する特解を示し,数値計算よって本手法の有効性を検討した.このRadial Basis Functionを用いることにより,近似関数の係数マトリックスが,従来よりもスパースな対角マトリックスに帰着させることができた.その結果,コンピュータの記憶容量を節約できるとともに,近似関数の係数を従来よりも高速に解くことができるようになった. 最後に,以上の定式化,数値シミュレーション結果を連成熱弾性の支配方程式から導出される積分方程式の評価法について適用するための定式化と解析プログラムの開発を行った.
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