研究概要 |
3次元固体として直方体と直円柱に注目し,表面の部分的な加熱による3次元非定常熱応力場を20節点アイソパラメトリック要素を用いた有限要素法により解析し,割断に有効な加熱法を検討した. 1 点加熱や円形領域加熱より,表面に帯状加熱源を置き,加熱領域長手方向の加熱していない部分の初期傷からき裂を発生・進展させる方法が加工面から有効である. 2 直方体の場合,加熱領域長手軸に垂直方向の熱応力が引張りになる領域は加熱帯幅にほとんど依存せず,端面近傍で高い引張り応力が発生する. 3 同一加熱時間では,加熱帯幅が狭いほど表面近くで応力が高くなるが,内部では逆に帯幅が広いほうが高い.加熱帯幅を板全幅の0.05〜0.1とすると,板厚全体にわたってほぼ一様な引張り熱応力を発生する. 4 加熱は1面だけでなく,表裏2面を同時に行うと板厚中央での応力は2倍になり加工に有利となる. 5 き裂が端面からほぼ中央まで板厚全体に一様に入った状態では,板表裏面近くでモードIの応力拡大係数が負になる.このことから板厚中央部に比べ板表裏面近傍のき裂進展が遅れることが説明される. 6 直円柱の場合は円周を部分的に帯状加熱することで,非加熱部分に強い軸方向引張り垂直応力が発生する. 7 円柱の半径と高さの比が2以上のとき,非加熱角度を15〜20°,加熱幅を半径の0.2〜0.3とすると,発生熱応力はガラス円柱表面の初期傷からき裂を発生させるに十分な大きさに達する. 8 球に近い形状ほど,外表面からの加熱により物体内部に熱応力を発生させる熱応力割断は困難になる.
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