研究概要 |
鉄基形状記憶合金の薄肉円管試験片を用いて引張-ねじり試験を実行することによって,マルテンサイト変態および逆変態の開始,終了条件を求めた. 比例負荷のもとで求めたマルテンサイト変態開始条件は,引張応力-せん断応力平面で卵形となり,塑性論のミーゼス条件と一致しない.したがって,応力の第三不変量を考慮する必要がある. 逆変態開始条件は,引張応力-せん断応力-温度空間で平面となる.その法線ベクトルの方向は前負荷方向(すなわち,誘起されるマルテンサイトバリアントの種類)に依存する.従って,多種類のバリアントが発生するような前負荷の場合には,逆変態開始条件は多面体錐面となる.バリアントの発生量は,変態開始面の平行移動となって現れる.すなわち,バリアント発生量が一定になるように比例負荷した場合には,逆変態開始平面は温度軸を軸として回転する.
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