研究概要 |
工作機械の性能向上には,加工中における機械の熱や応力による変形を実時間で高精度に評価し,変形分布の解析を介してそのデータを機械設計に生かすことが望まれる.そこで,これまでに開発されている「レーザ干渉とカメラを用いて大型物体の2次元変形分布を縞画像として測定する方法」をベースに,本研究では加工中の機械で見られる動的な変形を定量的かつ高精度に測定でするための方法を以下のように研究した.まず機械は加工中においては変形が止まっていることは非常に少ない.そこで,我々が開発してきた「変形した後の画像を1枚しか使用しない変形位相抽出法」を改良し,データ解析時間を短縮すると共に,高精度に変形位相変化を測定できる方法を新たに研究開発した.上の方法は,変形前の干渉位相測定に関しては位相シフト法を用いていたが,位相シフト法を用いる時は測定物体が完全静止している必要がある.そこで位相シフト法の利用を止め,測定中は対象が完全静止することなくずっと変形している場合でも,変形中の任意時点での位相を高精度に測定する方法を開発した.ただし,1波長のレーザ光と干渉計を用いる変形測定では,変形量が画像を一枚取り込む間にレーザ光の波長以上に変形すると,正確な変形位相が測定できない.そこで,二波長のレーザー光を干渉測定光学計に適用し,上で述べたところの「変形が止まることのない物体の干渉画像から動的変形を高精度評価する方法」を組み合わせて,動的でかつ大きな変形にも対応できる二次元変形の定量的変形評価方法を研究開発した.
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