研究概要 |
本研究は,黒鉛,ホウ素,チタンの混合粉から成る圧粉体にYAGレーザービームを照射して炭化ホウ素とホウ化チタンの複合セラミックスを合成することを目的としている.炭化ホウ素は硬度が高く,研磨材としての応用は考えられているが,難焼結材料であり,靭性も高くないこともあって,その性質を十分に生かして利用されているとは言い難い.近年,炭化ホウ素とホウ化チタンの複合セラミックスを合成することにより,靭性を向上させることが行われている.しかし,これらのセラミックス粉は高硬度であるため,圧粉が困難である.本研究では,黒鉛,ホウ素,チタンの混合粉を圧粉するので,セラミックス粉に比べ,圧粉が容易であり,多様な製品形状に対応することができる. 平成11年度は,黒鉛,ホウ素,チタンの混合粉から成る円柱状の圧粉体を製作し,この圧粉体にYAGレーザービームを照射して,複合セラミックスを合成するための条件について検討した.検討したのは,原料粉末の混合比やビーム照射条件であり,合成物はX線回折によってその成分を調べた. 平成12年度は,基盤上で成膜を行った.基盤材料として炭化チタンを使用し,基盤上にホウ素粉末を塗布する.基盤上方からレーザービーム走査を行うことにより,基盤上にホウ化チタン膜を合成した.このようにして合成したホウ化チタン膜を切削工具として,炭素鋼の外周切削を行った.その結果,ホウ化チタン膜工具により,炭化チタン工具と同程度の工具寿命が得られた.さらに,膜が切削中に剥離することはなく,膜と基板材料の密着性が切削加工に耐えうることもわかった.
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