研究概要 |
本研究の成果をまとめると,以下のようになる. (1)ホロニック生産システムの基本構成を検討し,論理的な構成要素からなるシステムの基本構成を提案し,その運用方法,特にスケジューリングにおける生産設備の選択または割り当て方法について調査と分析を行った. (2)機械加工を対象とする生産システムにおける自律的構成要素を検討し,オブジェクト指向の考え方に基づいてモデル化を行い,ホロニック生産システムにおける生産プロセスのシミュレーションを行うためのシステムを開発した. (3)オブジェクト指向のシミュレーションシステムを用いて,自律型構成要素がリアルタイムに生産スケジュールを決定しながら生産プロセスを実行していくプロセスのシミュレーションを行った. (4)階層分散型生産システムのスケジュール間の整合性を保持しながら,短い時間でリスケジューリングを行うことができるコンカレント・アプローチを提案した. (5)オブジェクト指向言語Smalltalkを用いて,リスケジューリングシステムのプロトタイプを作成した.このシステムを3階層のリスケジューリング問題に適用した. (6)加工フィーチャの持つ形状創成機能の情報に基づいて,その加工を実現することができる加工設備を選択し,加工時間を推定する手法を提案した. (7)加工フィーチャの加工順序および加工設備のシーケンスを決定するために,遺伝的アルゴリズム(GA)および動的計画法(DP)を組み合わせた手法を提案した.この手法を用いることで,段取り時間を含む加工時間を小さくする適切な加工順序および加工設備のシーケンスを決定することができる. (8)具体的な機械部品のプロダクトモデルを対象にケーススタディを行った結果,加工フィーチャとそれを創成することができる加工設備の組合せに基づいて,適切な加工順序と加工設備のシーケンスを自動的に求めることができた.これにより,ホロニック生産システムにおける工作物ホロンの工程設計機能を実現することができた.
|