研究概要 |
本研究では、方向をそろえたSiC(炭化けい素)ウイスカー砥石の開発を行うとともに、この砥石の性能評価を行った.その結果、仕上げ面粗さ16nmRy,研磨比2,000という値が得られた.また、加工変質層も小さいことがわかった. 本研究では、このウイスカー砥石の特徴を生かして、円筒内面・外面加工用のホーニングに応用した.実験装置には、CNCフライス盤を用い、加工材料としてSKD11(HRC60)を使用した. 実験では、主につぎの4点について行った.(1)SiCウイスカー砥石の他に市販のアルミナ砥石とCBN砥石を使用し比較すること.(2)加振器を用い、軸方向に振動を与え、その効果(加工能率の向上、砥石の目づまり防止等)について検討すること.(3)加工材料に小径丸棒を用い、周速度を低くすることにより交差角を大きくとれるようにすること.(4)被振動体であるホーン側を軽量にすることにより、振動数及び振幅の範囲を広くとれるようにすることである. 実験結果として、砥石の種類においては、アルミナ砥石、CBN砥石は加工能率は良いが、最終仕上げ面粗さについては、ウイスカー砥石の方が良いことがわかった.交差角に関しては、交差角13〜70°までの実験において、70°の場合が最も加工能率が良く、仕上げ面粗さについてもやや良いという結果が得られた.振動数を0,100,200,400,800,1000Hzと変化した場合、800Hzの時が最も良く、次いで400Hzが良く、これより低すぎても、高すぎてもあまり良い結果は得られなかった.また、加工後の砥石表面と加工物の表面状態について、それぞれSEM及びレーザ干渉顕微鏡により観察を行った.砥石表面については、振動を与えなかった場合に比べ、加振した場合は、目づまりが少なく、加振の効果が現れたものと考える.加工物表面については、かなり良い仕上げ面の状態を3次元的に観察することができた.
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