研究概要 |
本研究では,マイクロマシンパーツなどの立体的で高精度な機械部品の寸法や幾何偏差の測定を行うために,従来の直交座標型の三次元座標測定機(CMM)を縮小した機構ではなく,閉リンク構造を並列に持つパラレルメカニズムを用いた小型のCMMを提案している. (1)リンク配置の最適設計 メカニズムの運動誤差の主原因と考えられるジョイントの回転誤差の影響が少なく,かつスケールユニットの分解能に対する測定分解能を向上させるリンク配置を調査するため,特異値分解と遺伝的アルゴリズムを用いたリンク配置の最適設計を行った.この結果,以前に試作したメカニズムに対して,運動精度および分解能を40%ほど向上するリンク配置を得た. (2)直動リンクの製作 測長器とアクチュエータを組み込んだ直動リンクを製作した.具体的には,リニアボールガイドを用いた直動ジョイントに測長器となるリニアスケール(測定分解能:約2nm,ストローク:100mm)を組み込んだ.またナノメートルステップでの超精密位置決めが行えるように,アクチュエータとして積層型圧電素子を用い,インチワーム機構を構成した. (2)直動リンク駆動プログラムの作成 直動リンクをインチワーム機構で駆動するための制御プログラムを作成した.内蔵したリニアスケールを用いないオープンループ制御プログラムで駆動した際,4N以上の推力が得られることを確認した.さらに,スケールユニットをフィードバックセンサとして用いたフルクローズドループ制御用のプログラムを作成した.10μmのステップ位置決めを行った際の位置決め制定時間は0.1μs以下であった.
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