研究概要 |
本研究で提案する高品質化処理は,シェービングや歯面研削を最終仕上げとせず,さらにショットピーニング処理とバレル研磨処理を連続して行うハイブリッド型の歯面改質処理である。歯面近傍にショットピーニング処理で圧縮残留応力を生成させ,バレル研磨処理で表面粗さを小さくすることにより,歯元の曲げ強度が高く,トルク伝達歯面の面圧強度の高い歯車が製作できる。この歯車は,摩擦係数が小さくて,耐摩耗性に優れているので,省エネルギーや潤滑油の汚染防止に役立ち,「環境にやさしい歯車」として地球グリーン化に貢献する歯車である。 本研究では,歯車の最終仕上げを行うためのショットピーニング処理とバレル研磨処理をおこなうハイブリッド型の歯面改質処理装置を設計・製作している。この処理装置は実験室用であるが,設計を少し変更すれば,実際に歯車製造ラインに設置できれば,歯車の運搬を最小限に抑えることができ,研削後にショットピーニング処理とバレル研磨処理を行ってもコストはそれほどかからないと思われる。 本研究では,研削したローラや円筒歯車にショットピーニング処理とバレル研磨処理を連続して施した高品質歯車を製作し,実機で歯車負荷能力試験を行い,歯形や粗さの変化および油膜形成状態を調べながら,本研究で提案する歯車の負荷能力が非常に優れていることを実証した。また,本歯面改質処理法はインボリュート耐車に限らず,任意歯形を持つ各種の歯車にも適用できるので,ハイポイドギヤにも適用した。ハイポイドギヤは最終仕上げとしてラッピングが施されるが,粗さが5〜10μmRyと大きいので,ノイズや潤滑油の温度上昇が問題となっている。ハイポイドギヤの歯面を鏡面にする技術は,現在のところ,本研究で提案した方法が唯一可能であると言ってもよい。
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