研究概要 |
現在,パラメトリック設計機能を持ったCADシステムが実用化されているが,設計意図は手順と寸法としてしか表現されておらず,従来図面情報として表現されていた各種拘束や製造情報が製品モデルとして直接表現されていないため,効率的な製品開発が行われていない.そこで,設計者の意図を位相および幾何拘束や属性情報として記号的に表現し,設計者の直接指定による効率的なパラメトリック設計機能,設計フィーチャと解析/生産フィーチャを同時に表現する多視点モデルの表現法と,これに基づくフィーチャモデリング法の開発を行う.以上の研究目的に対し,下記の研究を行った. 1.立体間の集合演算やパラメトリック設計における干渉計算において,数値誤差により数値的にあいまいとなる場合にはこれを幾何要素が一致しているとみなして位相拘束とし,一致状態の遷移規則により位相拘束間の整合性を確保し,位相拘束をもとに出力立体の位相構造を決定するアルゴリズムを開発した. 2.設計者の指示するフィーチャタイプと貼り付け面より位相拘束を記述し,フィーチャの配置や大きさの指示を幾何拘束としてフィーチャモデルに表現した.パラメタを変更したときに,位相変更を伴う形状変更がされる場合を検出し,設計者がこれを望む場合には,新たな位相を生成した.さらに,位相変更により発生するフィーチャタイプの変更や寸法の過不足を検出し,位相拘束を変更し寸法の付け替えを行うことにより形状モデルとフィーチャモデル(位相 幾何拘束)の間の整合化を図った. 3.複数の基本フィーチャで構成される複合フィーチャの表現法として,基本フィーチャを製品モデルに表現する形式を利用し,これらをXMLファイルとして作成しネットワーク上で利用できるようにした.また,類似フィーチャの検索法や,同一フィーチャの2重登録防止についてのアルゴリズムを検討した. 4.生産上の要求(生産制約)により指定された要素間の寸法を変更する場合に,設計寸法からどれを選びいくつにすればよいかを,自動的に決定する方法を開発した.生産制約に影響する寸法を幾何拘束の従属グラフより抽出し,属性情報に基づいて設計意図への影響の少ないものを選択する.この寸法を変数として面データ表より方程式を作成して数式処理システムで解を求める.
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