研究概要 |
ターボ圧縮機の羽根車を高速で回転すれば単段で高圧力比が実現できるが,羽根車への相対流入速度あるいはディフューザへの流入速度が音速を超えるので,衝撃波の発生は避けられない.本研究では,高速流対応形ダブルパルスPIV(粒子画像流速計)を用いてインデューサ部および翼列ディフューザ翼間の衝撃波を含む流れ場の計測を行い,流量変化に伴う衝撃波強さの変化を場計測してとらえる.回転する羽根車あるいは静止翼列との相対位置毎の条件付抽出計測法が必要となるが,瞬間的な衝撃波構造を得るノウハウを蓄積する.また,時系列データを構築することにより,衝撃波の空間構造,非定常性,ならびに失速あるいはサージングとの関係についての基礎資料を得る.得られた結果は以下の通りである. (1)羽根車翼間あるいは翼列ディフューザ翼間を模擬した小型風洞試験装置を用いて,PIV動作診断システムを構築した.時間間隔1μs,最大流速は55m/sであった. (2)粒径0.5μsのサブミクロン粒子に対応するように,幅×厚みが38mm×1.2mmのシート光を任意の位置に設置できるレーザシート光照射システムを設計し,製作した. (3)自乗平均半径位置におけるインデューサ部のPIV計測に成功した(最高絶対速度は約92m/s).現有システムでは,翼を観測窓外にして,CCDカメラ最高感度にすることにより,サブミクロン粒子が十分撮影できることを確認した.データ量は十分ではないが,得られた速度ベクトル場は衝撃波の存在および流量による変化を示唆した. (4)レーザシート光照射法,粒子供給法,フレーム間隔設定,翼位置決定法などPIV計測に不可欠なノウハウを蓄積した. (5)翼列ディフューザ翼間壁面の圧力場を高周波数応答性圧力センサを用いて詳細に計測し,動静翼列干渉による衝撃波の非定常空間構造を把握するシステムを構築し,PIV計測結果比較の基礎資料を得た.
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