研究概要 |
有限長円柱や円錐・球などのはく離を伴う三次元物体の後流中には,異なった周波数を有する多様な形態の乱流組織構造が形成され,物体に作用する変動流体力や空力騒音に大きな影響を与える.本研究は,はく離を伴う物体として有限長円柱と薄い円板翼を用い,その乱流後流中に形成される三次元大規模乱流組織構造の詳細を解明した.得られた結果を要約すると以下のようになる. (1)有限長円柱の後流組織構造 後流に形成される三次元組織構造を測定・解析した結果,複雑な乱流後流中には大別して次の3種類の形態の三次元大規模乱流組織渦構造が重畳して混在することが確認された.すなわち,(1)低周波数成分(先端成分):円柱の先端から生じる,比較的低周波の縦渦状組織渦,(2)中間周波数成分(中央成分):円柱先端からスパン中央にかけた領域から流出するヘヤピン状の組織渦,(3)高周波数成分(根元成分):円柱スパン中央部から根元にかけた領域から流出し,二次元円柱からの放出渦列に類似した三次元組織渦. (2)有限長円柱の後流には,上記の3種類の代表的な組織渦のみならず,その中間的な形態と周波数を有する極めて多様な組織渦構造が複合して混在する.従って,一見すると極めて複雑な後流構造を呈しているかのように観察される. (3)円板薄翼の後流構造 広い迎え角範囲において円板翼の後流流れを定量化し,以下の結論を得た.(1)非失速状態の典型的な後流渦構造である後引き渦型の縦渦構造では,その時間的変動に組織性は100〜200HZ付近の広い周波数範囲の変動を伴うが,明瞭なピークは現れない.(2)失速状態の後流として典型的なリング渦構造では,特定の周波数にピークを有する組織的変動が生じ,その卓越周波数はリング渦の高さを代表長さとしたストロハル数にて0.19〜0.22程度である.
|