研究概要 |
アスペクト比(液層長さ/深さ)Ar=2および4,幅比(液層幅/深さ)Wr=0.5〜4.2の矩形容器の二鉛直壁間に温度差を与え,他壁は断熱条件として,プラントル数Pr=0〜0.027の流体について3次元数値シミュレーションを実行した結果,以下のことが明らかとなった。 1.(Ar,Wr)=(2,1),(2,2),(4,1)の場合,振動が起こる臨界グラスホフ数はプラントル数に大きく依存する。 2.対流構造は,セル状パターンと縦渦(ロール)により特徴づけられる。一般的には,幅比の増加とともに臨界グラスホフ数は減少する傾向を示すが,狭い幅比域で対流構造の転移による臨界グラスホフ数の急激な増減が見られる。 3.Pr=0および0.015では,いずれの幅比に対しても単一セル状対流となる。 4.Pr=0.025の場合,Ar=2ではWrが1以下のとき,Ar=4ではWrが1.4以下のときに2セル構造の振動対流が現れ,それら以外の幅比では単一セル構造となる。 5.平均熱伝達率に及ぼす振動流の影響は約10%にまで達する。 さらに,Ar=2,4,Wr=0.5〜4の条件で溶融ガリウムを用いた実験の結果,以下のことが明らかとなった。 1.再現性のある振動流が発生する。温度振動から決定された臨界グラスホフ数はシミュレーション結果と定性的に一致する。 2.臨界グラスホフ数は,Ar=2,4ともにWrの増加とともに減少する。大きなWrでは,温度差を徐々に増加させた場合と、減少させた場合とで決定された臨界グラスホフ数にヒステリシスが若干現れる。 3.振動周期は幅比が増加するにつれ10秒程度から1分程度まで大きく変化し,特定の幅比を境に跳びが見られる。Ar=4についての測定結果はシミュレーション結果とよく一致する。
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