研究概要 |
本研究が提案する全く新しい方式のゼロパワー磁気軸受は以下の点で画期的であり独創的であった。すなわち、厳密な線形化法とスライディングモード制御という共に代表的な非線形制御理論を巧妙に組み合わせることにより電磁石のみによるゼロパワー磁気軸受を実現すること,リアプノフ直接法によるオンオフ切り換え型ゼロパワー非線形制御,さらに,バックステッピング法によるゼロパワー非線形制御などを新しく提案したことである。そして,シミュレーションと実験によってその有効性を検証することができた.この成果は省電力型磁気軸受の分野とこれに関する関連分野に大きなインパクトを与えると思われ、当該産業分野に大きな貢献をするものと確信する。その長所を具体的に列記すると、まず、(1)バイアス電流が不要なため、小さなパワーアンプで十分である。(2)パワーアンプの飽和が格段に回避できる。(3)永久磁石が不要であるため、渦電流損失を微小に抑えられ回転効率が上がる。(4)電磁石のみであるため実装と制御が容易である。(5)大域的に線形化を行っているため、あるいは,リアプノフ直接法により大域的に安定であるため,制御特性の信頼性の高上につながる。(6)全体として大幅なコスト削減につながる。などである。このような利点を有する磁気軸受システムは、これまで概念においても研究開発においても、全く現存しなかった。今後,この新方式磁気軸受システムを実機レベルで実現されるならば、一層のニーズを引きだすことになり、産業界への波及効果も莫大であると確信する。
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