研究概要 |
磁気特性は磁界強度Hベクトルと磁束密度Bベクトルの間のベクトル関係を表すとの視点から,従来に代わる新しいベクトル」(二次元)磁気特性を定義し,それを表すための構成方程式としてE&Sモデルを提案した。これにより両ベクトル間の大きさ並びに位相関係を容易に表すことができるようになる。磁気特性は大きさのみならず空間的位相差に於いても非線形性を有する。ヒステリシスには交番磁束条下の他に回転磁束条下に於いても存在する。その特性データ量は100MBにも達する。(従来は多くても1kB以内であった)この膨大なデータ量を「測定可能なデータ」として位置づけ,磁界解析はこの「測定可能なデータ」を使用して行われなければならない。本解析手法はこの「測定可能なデータ」をE&Sモデル化して導入することにより,実用的な磁界解析手法を明らかにし,初めて電気機器鉄心内の磁束分布だけではなく,H並びにBベクトル分布を表示し,更に鉄損分布を明らかにした。これにより,各種磁性材料の特性に応じた磁界解析・損失解析が可能となった。これらを使用して低損失化の手がかりを得るため単相誘導電動機の固定子鉄心の歯部の傾きによる検討を行った結果,無方向性けい素鋼板の場合で4.5度の最適角を得た。以上の結果からこれまでの材料のみならず方向性けい素鋼板や二方向性けい素鋼板を使った回転機鉄心の可能性を見いだすことができる。
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