研究概要 |
本研究は,脳の神経回路網の機能を実現するための情報処理原理,すなわち神経系の情報コーディングを解明し,情報コーディング処理デバイスを開発し,その情報処理原理に基づくハードウェア情報処理システムを実際に製作することを目的としており,以下のテーマについて検討を行なった。1.ニューロンレベルでのニューラルコーディングの解明。2.ニューロンモデルの開発,および,3.時系列パターン認識のためのニューラルネットワーク。 その結果,1.(1)PSPの膜電位依存性を導入した非同期カオスニューロンモデルにより,絶対不応性を有するデバイスを開発した。(雑誌論文1番目)(2)細胞体の振幅のカオス的出力パルス時系列は,軸索を伝達することで,カオスの振幅-間隔変換により,複雑な間隔時系列に変換されることを明らかにした。(雑誌論文3番目)2.(1)閾作用,無減衰・波形整形作用を有し,カオス現象も有する軸索モデルを実現した。(雑誌論文2番目)(2)パルス形ハードウェアバーストニューロンデバイスを開発した。(雑誌論文4番目)(3)ニューラルネットワークに適したパルス形ハードウェアニューロンデバイスをIC化した。(雑誌論文6,7番目)(4)IC化可能なパルス形ハードウェアバーストニューロンデバイスを提案した。(雑誌論文9番目)(5)非同期カオスニューロンデバイスをアナログ回路により実現した。(雑誌論文8番目)3.時系列識別のためのニューラルネットワークモデルを使用し,マウス脳波の識別実験を計算機シミュレーションで行った結果,時間的あるいは空間的に伸縮した波形に対して正しく識別できることを示し,結総数も少ないことからハードウェア化に適していることを明らかにした(雑誌論文5番目)。
|