研究概要 |
本研究では、ITS(Intelligent Transportation System)における情報交換を効率的に行うために「ランダムアクセスネットワーク」をad hocネットワークとして構築する方法を提案し、その効率的構成法の一例が実現出来る事を示すことを目的としている。提案しているシステムは高速周波数ホッピング(FFH)-SSを2次変調とするシステムであり、その物理層としての1次変調に当該研究室で開発したAP-QCPM遅延検波あるいは同期検波を適用して効率の良いシステムを構成しようとする。このための基礎検討を平成11年度に行い、拡散パターンとして52ホップOCC(One Coincident Code)を用いる事により10名以上の同時利用を実現できることを示した。しかし、上記が実現できるためには希望信号電力と干渉信号電力比(CIR)が3dB以上は必要であり、ad hocな無線ネットワークにおけるCIRとしては0dBをクリアできる事が必要である。このための具体的な技術としてチャネルキャンセラとターボ符号化に着目をした。平成12年度の一連の研究は基本的にはこのテーマに沿って成されている。高速FH-SSに直接上記システムを組みこみ特性を評価する事は大きな困難を伴なう(プログラム開発に相当の時間を必用とするため、期限内に必用データを得る事が不可能となる恐れがある)。次善の策として、TDMAフレームを用いたパケット伝送に上記技術を組みこんだシステムを構築し、伝送路特性推定とターボ符号を組み込んだシステムの改善効果を明らかにした。この結果より、CIRが1以下(dB表示では"負")でもシステムが良好に動作する事を確認できた。これらの結果はLondon(UK),Boston(USA),Bangkok(Thailand)で行われた国際会議で(研究成果の進展に合わせて)公表した。一方、電波媒体としての周波数の選択は重要である。2.4GHz帯はISM帯として魅力ある周波数であるが、ミリ波もまた対象外とするには早急な判断と言える。平成11年度の研究ではミリ波の屋外伝搬特性の推定研究も行った。上記結果も、学会論文誌で公表した。上記の通り、本研究補助金により表題に関して大きな知見を得る事が出来た。
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