研究概要 |
本研究では,マルチキャスト通信における適応型サービス品質(QoS:Quality of Service)制御方式として,トラヒック制御,誤り制御,メディア同期制御,及び端末のCPU資源の割当制御について検討を行った。 まず,トラヒック制御については,情報量の大きいMPEGビデオ対象とし,階層化マルチキャストとフィードバック制御の性能測定実験を行い,前者には負荷変動に対する即応性に問題があることが判明した。この問題点を解決するため,両制御を併用する方式を考案し,実験により,その有効性を明らかにした。 次に,遠隔教育やネットワーク型ゲームを例に取り上げ,マルチキャスト通信において,誤り制御としてコンピュータデータを複数回送信する方式を採用し,メディア同期を保ちつつ,因果順序や端末間の公平性を維持する方式を提案した。また,実験を行い,その効果を明確にした。 さらに,分散仮想環境において音声とビデオから成る複数のオブジェクトを3次元仮想空間に転送して表示するシステムを想定し,空間内におけるオブジェクトの重要度,ネットワーク負荷,CPU処理負荷に応じて,ビデオの時間的及び空間的解像度制御,メディア同期制御の有無や同期の制度を変更する制御,CPU資源の割当制御を行う方式を提案した。なお,CPU資源の割当制御としては,ビデオの代わりに簡単なCGを出力したり,空間の更新頻度の変更を行った。そして,実験によって提案方式の有効性を示した。 以上の成果は,電子情報通信学会の研究会,全国大会,IEEEの国際会議等において計13編の論文として発表された。 今後は,上記の成果を組み合わせて使用し,高効率な適応型QoS制御技術を確立する予定である。
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