研究概要 |
本研究では,操作性が高く熟練を要する作業を容易に実現できるような人間-機械協調作業系の制御系設計手法を開発することを目的とし,以下のような成果を得た. 1.作業対象特性の微少な変化を増幅して操作者に伝えることで,ある種の困難な作業の容易化が可能であることを見い出し,実験によりその効果を確認した. 2.操作性を重視した人間-機械協調作業系のより一般的な制御系設計の基礎固めとして,ツール特性と操作伝達特性の安定性を保証する制御系の一般構造を導き,制御系の諸特性の実現可能なクラスを明らかにした. 3.人間-機械協調作業系の従来研究において仮定されていた人間の操作の受動性が成立しない場合があり,特に操作性が高い場合ほど受動的でない傾向であることを実験的に明らかにした. 4.人間-機械協調作業系に応用可能であるように,表面筋電位信号による疲労指標推定を実時間で処理する手法を開発した. 以上のような成果は,操作性を考慮した人間-機械協調作業系の制御系設計手法の確立にとって非常に有用な基礎事項である.今後以下に述べるような課題を検討しながらこれらの成果を発展させる予定である. 1.作業対象の動特性変化を認識しやすくする人間-機械協調制御系の設計法を応用した作業例題を,より実用性の高い多次元作業に適用して有効性を確認する. 2.ツール特性と操作伝達特性の安定性を保証する制御系の一般構造に基づいて,操作性にとって重要な伝達特性をその実現可能なクラス内で適切に指定できる新たな制御系設計手法を確立する.
|