研究概要 |
本研究では,遠隔操作(テレオペレーション)を準自律型ロボットとヒト(操作者)とのインターフェイスとして位置付け,申請者のこれまでの研究を発展すべく,多指ハンドロボットの自律化を目指す.具体的には,高度な作業に不可欠な位置情報と力覚情報のコミュニケーションに焦点を当て,(1)把握と操りに加え,滑りや転がりを伴う多指ハンドロボットの力学特性,(2)遠隔操縦制御のし易さからみた多指ハンドロボットの機構とセンサー,(3)多自由度系における位置と力の双方向(バイラテラル)制御,(4)多指ハンドロボットの準自律化に不可欠な協調および階層制御,を明らかにすることを研究目的とした. 平成11年度では,多指ハンドロボットシステムの作成,準自律制御方式の開発を行い,多指ハンドロボットの把握や操りに加え,滑りや転がりを考慮した自律制御が重要な課題となった. 平成12年度では,把握対象物体とフィンガとの間の滑り接触,転がり接触に関する力学的性質をノンホロノミック拘束の観点から考察し,新たに準自律制御方式を開発した.また,安定度の高い把握・操りのためには指先を柔軟にすることが必要であり,このため,ソフトフィンガをゲル材で作成し,その応力-歪特性を実験的に獲得した.これらの開発・改善によって,遠隔操縦における多指ハンドロボットの準自律化は,当初の研究目的の範囲において,一応達成することができた.自律化のさらなる高度化に際しては,制御方式に視覚情報を融合することが不可欠であり,今後,力覚と視覚の協調制御方式の開発が期待される.
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