研究概要 |
システム同定ではディジタル信号処理が前提とされているため,同定モデルは主として離散時間モデルが用いられている.しかし,例えば力学系ではニュートンの運動方程式で記述される連続時間モデルの質量,ばね定数や摩擦係数を同定する必要がある.このため,近年連続時間システムの同定が重要なテーマとなっている. 1.連続時間確率システムをδオペレータを用いて近似的な離散時間システムに変換して,それに周知の部分空間法であるMOESP法を適用することにより,連続時間システムに対する新しい部分空間法を提案した.さらに補助変数行列を導入し同定精度を改善する方法を考案した.システム制御情報学会論文誌(2001)に掲載. 2.δオペレータに基づく連続時間システムの部分空間同定法を連続時間閉ループシステムの同定法に応用した.本方法では,まずdual Youlaパラメートリゼーションを利用して閉ループ同定問題を等価な開ループ同定問題に変換して,上記の方法で等価な同定問題を解き,しかる後伝達関数の変換によって所望の伝達関数を求めている.この方法はコントローラの情報を必要とするが,不安定な制御対象でも精度よく同定できることをシミュレーションにより確認した.第3回アジア制御会議(200)で発表. 3.δオペレータと修正楕円体法を組み合わせて,むだ時間を含む連続時間確率システムのパラメータとその限界を求める,いわゆるモデル集合の同定法を提案した.システム制御情報学会論文誌(1999)に掲載.
|