研究概要 |
入出力データからインパルス応答の推定値を求めることができれば、この推定値を用いてHankel行列を構成し、Ho-Kalmanの実現アルゴリズムや特異値分解に基づくKungの実現アルゴリズムによって多入力多出力系の状態空間モデルを求めることが考えられるが、多入力多出力系のインパルス応答を入出力データから精度良く求めることは困難である。また、入出力データから差分方程式の係数行列を推定し、この係数行列から状態空間モデルを求めるには、構造指数を適切に決定しなければならないという問題点がある。 部分空間法は、インパルス応答や差分方程式といった入出力表現などを介さずに、入出力データから直接に状態空間モデルのシステム行列(A,B,C,D)を求める手法であり、本質的に多入出系に適した同定法であるため、従来の線形回帰式に基づく同定法にかわる有力な同定法として大きな注目を浴びている。 本研究では,部分空間同定法の実用化に向けて,1)各種連続時間システム同定法のソフトウエアパッケージ化とこれを用いた同定法の比較検討,2)ロバスト制御のためのモデリング法の開発,3)バイアス補償最小2乗原理に基づく一致推定法の開発,4)部分空間同定法の推定値の逐次計算アルゴリズムの開発,5)部分空間同定法の連時間システム,非線形システムなどへの拡張,に関する研究を行った。
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