研究課題/領域番号 |
11650454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
制御工学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野 昭 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10051765)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2000年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1999年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | システム同定 / 適応制御 / 閉ループ同定 / 安定化制御 / 磁気浮上 / 部分空間法 / 到来方向推定 |
研究概要 |
フィードバックコントローラを含む閉ループ系内のダイナミカルシステムをその入出力データのみを直接利用して同定する直接法による閉ループ同定において、目標値がPE性条件を満たされない場合には,フィードバックコントローラの次数がダイナミカルシステムよりも高次でなければならないという非現実的で厳しい可同定性条件が必要であった.本研究では、入力信号のサンプリングレートよりも高いレートで出力信号をサンプルするマルチレ-トサンプリング方式により、この可同定性条件を不要にできることを明らかにし、様々な状況下での閉ループ同定問題を解決することが目的であった。また、閉ループ同定で得られたシステムモデルを実時間で利用した適応制御への拡張、マルチレート信号の周波数域での周期定常性を利用した閉ループ同定問題や部分空間法を用いた信号の到来方向を推定する問題などについても検討を行ない、提案法の性能や有効性を明らかにすることを目的とした。得られた結果は以下のように要約される. 1)磁気浮上系は不安定系であり、安定化制御器により制御されている状況下での閉ループ想定が不可欠となる。線形化モデルを同定することにより、未知の物理パラメータを同定するために、制御入力を駆動電圧とし、ギャップ長を制御入力よりも高いサンプリングレートで入手した入出力データから、一入力多出力系となみし、まず分母多項式を部分空間法により同定する。次に、分子多項式の同定を行うために、補助変数を導入した方法と連続時間の伝達関数が相対次数3となるという情報を利用した方法の二つを提案し、実際に磁気浮上の同定実験を通してその有効性を明らかにし、従来法との比較検討を行った。 2)入力部にバックラッシュなどの未知非線形特性を有する未知線形ダイナミカルシステムの閉ループ同定を行うための手法を明らかにし、数値シミュレーションによりその有効性を検証した。まず未知線形部の同定を出力インターサンプリングにより得られた出力信号を用いたブラインド同定を、部分空間法などを組み合わせた方法により行い、同時に線形部への未知入力を推定する。次に偏差信号を入力とするバックラッシュ特性などの非線形部を同定する方法を与えた。 3)駆動モータに柔軟性をもつシャフトで接続された2つの負荷モータからなる3慣性系の速度制御をPIDコントローラによって閉ループ制御されている場合、これまでは不可能であった一定速度制御のもとでの直接法による閉ループ同定を可能にする新しい方法を明らかにした。また、簡易形適応制御の枠組みの中で、適応PI制御下により速度制御が行われている閉ループ系に含まれる1慣性系の慣性モーメント、粘性抵抗、速度の2乗に比例した抵抗、クーロン摩擦などの閉ループ同定、および2慣性系の慣性モーメントと軸時定数の閉ループ同定を行う適応同定法を与え、実験によりその性能評価を行った。 4)出力オーバーサンプリングされた信号がもつ特徴の一つである周期定常性は、2次情報であるパワスペクトルだけでなく、位相情報も利用できるため、ブランドシステム同定やブラインド信号検出が可能となることを明らかにし、部分空間法や線形予測により各種の変調を受けた信号の到来方向を別々に推定できる新しい方法を明らかにした。
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