研究概要 |
建設分野では,コンクリート構造物の耐久性向上や合理化施工などの社会的な要請に答えるため高流動・高強度・高耐久コンクリートの検討が進んでおり,21世紀には主力な技術となることが予想されている.ここでは,高性能AE減水剤が重要な役割を演じる.本研究ではコンクリートの流動性制御と関連した材料設計・品質管理システムの開発を行うための基礎的なデータの蓄積を目的に,高性能AE減水剤の主成分である,ポリエチレンオキシドをグラフト鎖とする分子構造の明らかな櫛形高分子を用いて,その吸着・分散機構や初期水和あるいは微量成分の影響などを明らかにしていくことや濃厚系サスペンションの流動挙動などについて検討を加えた.特に,セメント系材料のように初期に水和反応を生じる場合には,高分子の初期水和反応への影響を明らかにしておくことが重要である.セメント系材料の初期水和を支配するCa_3Al_2O_6-セッコウ系の初期水和への高分子の影響を明らかにした.また,高分子の石灰石微粉末(CaCO_3)の分散作用におよぼす各種の無機電解質の影響を検討し,流動性制御や高分子の吸着機構について.さらにはフライアッシュあるいは塩素バイパスダストおよび再生微粉末に対する高分子の作用について明らかにした. 以上の結果より,流動性制御に関する材料設計や品質管理システムを開発するための要素技術の整理ができた.今後は,既に本研究代表者らが検討を行ってきている濃厚サスペンションのレオロジー,粉体の粒子特性と流動性と関連,櫛形高分子による粒子間ポテンシャルの計算による分散機構の解明や分子構造と分散作用の影響などと今回の成果を融合させ,セメントや高性能AE減水剤の材料設計や品質管理システムとして統合化していく必要がある.
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