研究概要 |
廃FRPをモルタル・コンクリート用材料として有効利用することを目的に,廃FRPの処理において,気流粉砕機によりFRPをマトリックス部分と繊維部分に分離し,回収したガラス繊維に関し,モルタル用繊維補強材としての再利用の可能性について検討した。その結果,モルタルの曲げ特性を向上させうる繊維補強材として有効利用できることが明らかにした。しかし,廃FRPを構成している繊維は主に,E-ガラス繊維であるため,モルタル中に分散した二次処理分級繊維は,長期的にはセメントの水和による高アルカリ性雰囲気により劣化していくものと考えられる。これにより,廃FRP処理材を混入したモルタルの曲げ強度もある材齢以上になると低下していくことが予想される。そこで,モルタル中のアルカリ性を低下させ,長期的な曲げ強度の低下を軽減する目的で,結合材として高炉スラグ微粉末をセメントに置換した場合について検討を行った。その結果,結合材としてセメントに対し高炉スラグ微粉末を30%または50%置換することにより,本処理材を補強材として用いたモルタルの長期材齢における,強度および靭性の低下を抑制できることを明らかにした。更にSEM観察により,モルタル中の二次処理分級繊維が長期的に殆どアルカリ劣化を起こさないことを確認した。また,本研究課題と関連させ,廃プラスチックを減容化し破砕処理したものをコンクリート用軽量骨材として適用する方法についても検討し,軽量骨材として有効利用できることを示した。
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