研究概要 |
銑鉄を製造する際に発生する水砕スラグの潜在水硬性を利用した透水性舗装の改良路盤,改良路床を作成した.アルカリ性刺激剤として生石灰や消石灰を用いた場合,十分な強度は得られるが,この路盤,路床に雨水が浸透した場合,強アルカリ性となり実用的ではない.このため刺激剤として粉末化水砕スラグを利用し,水和反応を促進する目的で石膏を添加することにより,十分な強度を得ることが出来た.この様にして出来た路盤,路床材は浸透水のpHも小さく,施工1週間後に酢酸及び酢酸ナトリウムの水溶液を散布することにより石灰を利用した時の1/20以下の浸透水量でpH8.6以下になることが判った.又これらの路盤,路床材料は1つの空隙は小さいが全体では大きな空隙を有し,十分な保水性,透水性を有しており,時間雨量1000mm程度の浸透能力を持ち,さらに50mm程度の降雨により夏期路面温度は晴天時に通常舗装に比べ3〜5℃程度低下し,この効果は約10日程度続く. 透水性舗装の表層には通常の排水性舗装に用いられるアスファルト混合物を採用し,基層には変形ステンレス繊維を混合することにより目つぶれ防止に役立つことも判明した. 試験施工では2年経過した後でも表面の平坦性は排水性舗装の2倍程度,FWD試験においてもD_0は1/2で路盤の強度増加が続き許容載荷輪数も時間の経過とともに増加が認められた. 以上のように透水性舗装が市内に施工されれば排水性舗装の効果に加え雨水の地下水への還元,大量降雨に対しても十分な透水,保水能力があるため排水,下水管あるいは小河川の氾濫か防止に役立つ.街路樹の夏枯れ防止対策となり,保水された水の蒸発散により夏期温度低下などが期待できる.
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