研究概要 |
本研究は,近代木橋の動的挙動と特性評価に基づき,性能設計法の適用とその具体的な性能規定を開発することを目的として,3年間に渡り実施した。 本研究の遂行で明らかになった事項は,以下のようである。 1.近代木橋の架設実績に関する全国47都道府県から700橋のデータを収集し,構造,形式,樹種などの要因分析から,わが国の近代木橋の実態を定量的に把握することが出来た。 2.近代木車道橋の7橋に対する実橋実験データの収集によって,応答加速度,速度,振動変位などの動的挙動を明確にした。さらに,近代木橋の車両走行性や歩行者の振動感覚に基づく使用性等の実態が明らかになった。このことから,近代木橋の実橋データを基に,固有振動数,固有振動モード,減衰定数,動的増幅率など近代木橋の振動特性の実態が定量的に明らかになった。また,近代木橋の動的挙動や振動特性値と鋼橋やRC, PC橋梁の一般的な橋梁との比較検討によって,振動の観点から近代木橋の構造剛性のレベルが明らかになった。 3.車両走行に相似した繰返し動的荷重による継手を有する,あるいは有しない構造用集成材の実験によって,集成材の動的影響と疲労強度が明らかにする予定であったが,疲労試験機の故障から,集成材の疲労挙動と強度の定量評価は行えなかった。 4.3次元の走行車両による近代木橋の完全なる3次元動的応答解析法を世界で初めて定式化し,動的応答の定量的評価,動的増幅率や衝撃係数を動的応答係数とした設計係数の性能規定を明らかにした。この解析結果と実験結果の整合性から近代木橋の具体的な設計法に検討を加えた。 5.以上の動的挙動の特性評価に基づいて,総合的かつ統一的な動的パフォーマンスを明らかにすると共に,近代木橋に適した性能設計法と具体的な性能規定の一部を開発することができた。
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