研究概要 |
本研究では,まず,50〜200℃の高温条件下でせん断,圧密,及び透水試験が行える三軸試験システムを開発・製作した.本装置は,シリコンオイルで満たしたセル室とつながっているフローポンプのピストンロッドの変位をパソコンを用いたメガトルクモータによって制御し,高背圧を高精度で負荷することによって100℃以上の高温度条件下で間隙水の沸騰を抑え,各種の三軸試験が実行可能である.本装置を用いて,カオリンとベントナイトに対する圧密非排水三軸圧縮試験を行い,温度履歴を受けた粘性土の強度・変形特性,および圧縮・圧密特性を調べた。その結果,100℃における粘土の力学特性は100℃以下での温度効果のほぼ延長線上にあり,100℃程度では粘土の力学特性に大きな変化が現れないことが明らかとなった。また,温度が上昇するにつれて,擬似過圧密状態に近づき,圧縮強度は増加するが,限界状態線の傾きはカオリン粘土で減少し,ベントナイト粘土で増加することが明らかとなった。さらに,両試料とも温度増加に伴って圧縮強度は増加するが,温度増加に伴う間隙比の減少量に対応するだけ強度増加は得られていないことが明らかとなった。 一方,粘土試料の水平断面と鉛直断面の電子顕微鏡写真において,直交する方向の写真の濃度分布を測定し,その波形のパワースペクトル解析を行うことによって,その粘土の粒子構造の違いを定量的に評価する方法を用いて,高温再圧密粘性土と室温再圧密粘性土の微視的構造を比較検討した。その結果,高温履歴を与えることによって粘土の微視的構造がランダム構造に近い構造になることが明らかになった。
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