研究概要 |
SO_X,NO_X、SPMなどの排出による地域大気汚染問題は、とりわけ開発途上国において社会問題になっている。地域温暖化問題は、CO_2などの排出により生起し全世界の関心事となっているが、こうしたSO_X,NO_X、SPMあるいはCO_2排出は、いずれも化石燃料の消費を主たる原因としており、エネルギー消費構造の改善により、両者の同時的、複合的な解決が図れる可能性が高い。この研究では、研究代表者がかねてより開発してきたエネルギー消費シミュレーションモデルに、中国、インド、韓国など複合対策効果が期待される国々のエネルギー消費、大気汚染物質排出データを組み合わせ、複合対策の経済的有利性と対策の技術的詳細(各施策下での排出量削減効果とエネルギー消費機器、汚染物除去装置の普及度、直接費用あるいは間接費用等の関連)を提示することを目的としている。まず、これまで使用してきた二酸化炭素排出推計のためのエンドユース型モデルを、SO_X,NO_X,SPMの排出も推計可能に改良するための、モジュール追加作業を行った。さらに、これに加え、様々なケースの対策オプションを処理できるように改良した。このモデルを、大気汚染問題が深刻な日本の大都市圏自治体に適用し、自治体における地球温暖化対策の大気環境改善への波及効果の分析を以下の手順で行った。(1)自治体のエネルギー消費や各種活動量に関する情報を収集し二酸化炭素排出推計モデルのデータベースに加えた自治体データベースを作成した。(2)現状および将来のエネルギー消費、二酸化炭素排出量、大気汚染物質排出量の推計を行った。(3)自治体の温暖化防止行動計画や対策の実施可能性を反映させた、自治体固有の対策メニューを作成した。(4)対策ケースにおける将来のSO_X,NO_X,SPMおよびCO_2排出量を推計した。(5)各種地球温暖化対策の効果が大気汚染物質の排出に対してどのような効果がを表しているかを推計する手法を確立し、地球温暖化対策の大気環境改善への波及効果を分析した。さらに、モデルの改良および追加作業によって構築された、二酸化炭素及び大気汚染物質(SO_X,NO_X,SPM)の排出を推計しかつ様々なケースの対策オプションを処理できるのエンドユース型モデルを用いて、大気汚染問題が深刻なアジア地域を中心に、各国における大気汚染対策(SO_X,NO_X削減対策)の地球温暖化防止効果(エネルギー消費の抑制)への波及効果の分析を行った。分析の手順は、日本の大都市圏自治体における地球温暖化対策の大気環境改善への波及効果の分析手順をベースして、(1)各国のエネルギー消費や各種活動量に関する情報を収集し大気汚染物質排出モジュールを作成した。(2)現状および将来のエネルギー消費、大気汚染物質排出量、二酸化炭素排出量の推計を行った。(3)各国の大気汚染物質削減計画や対策の実施可能性を反映させた、各国固有の対策メニューを作成した。(4)対策ケースにおける将来のSO_X,NO_X,SPMおよびCO_2排出量を推計した。(5)各種大気汚染物質削減効果がエネルギー消費や地球温暖化に対してどのような効果がを表しているかを推計する手法を確立し、アジア地域の大気汚染暖化対策の地球温暖化への波及効果を分析した。
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